大型フレームの静電粉体塗装を試作から量産へスムーズに移行
お客様の課題
大型フレームに対応できる塗装設備・前処理環境が社内にない
産業機械向けの金属加工部品を製造されているH社様では、半導体製造装置向けのベースフレームに静電粉体塗装を行う必要がありましたが、自社では大型フレームに対応できる乾燥炉や前処理設備を保有していませんでした。
製品はSS400材(角型鋼管STKR400)を使用した溶接構造物で、フロント側が264×1654×2160mm・リア側が264×1900×2160mmという大型・複合形状の2台1セット。タップ加工面が多く、マーキングも入る仕様でした。このような大型かつ複雑な形状の製品を、品質を保ちながら塗装できる外注先を探すことが必要でした。
量産移行を見据えた試作段階からのコスト・納期最適化
今回の案件は新製品の試作としてスタートしましたが、品質テスト通過後は量産移行が予定されており(年間90個・月10個・週2個のペース)、試作段階からすでにコストダウンと納期短縮を見据えた塗装体制の構築が求められていました。現行の試作見積では1台あたり@90,000円かかっており、量産化にあたってコスト削減が急務でした。
富士商事からの 提案・解決策
前処理工程の見直しと下塗り塗料の仕様変更で、品質・コスト・納期をまとめて改善
今回の製品は前処理に規定が無かったため、塗膜の長期密着性を確保するリン酸鉄による前処理を提案しました。
前処理を施すことで塗膜の密着力が格段に高まり、粉体塗装の品質を安定させることができます。
その際、加工面には前処理が付着しないようにとのご意向でしたので、シリコーン製テープでのマスキング対応を提案しました。
【下塗り塗料の仕様変更でさらにコストと工程を圧縮】
あわせて、従来のお客様指定の下塗り塗料から、より高性能なグレードへの変更を提案しました。これにより塗膜性能が向上するだけでなく、塗装工程が2コート2ベーク(2C2B)から2コート1ベーク(2C1B)に短縮されます。焼き付け回数が1回減ることで乾燥炉の占有時間・光熱費・工数がまとめて削減でき、コストダウンと納期短縮を同時に実現することができます。
静電粉体塗装とは?
静電粉体塗装とは、溶剤を使わず粉末状の塗料を静電気の力で被塗物に付着させ、加熱炉で焼き付けて仕上げる塗装方法です。溶剤系塗料と比べてVOC(揮発性有機化合物)の排出がなく環境負荷が低い点に加え、塗膜が厚く均一で耐久性・耐食性に優れているのが特徴です。今回はお客様指定の白色粉体塗料を使用し、膜厚50μm以上を確保しました。
塗装の品質を守る3つの現場対応
【マスキング】
お客様のご希望で加工面には前処理の際に薬液が付着しないよう適切なマスキングが必要でした。通常の養生テープではマスキング後に粘着剤が残るケースがありますが、富士商事ではシリコーン製テープを採用することで、前処理から上塗りまでテープを張り替えることなく施工でき、加工面の精度にも影響を与えない対応を実現しました。
【縦吊り施工】
また、上塗り色が白であるため、わずかなゴミ・異物(コンタミ)も目立ちやすい仕上がりになります。そこで製品を縦吊りにして施工することで、塗装面へのゴミの落下・付着を最小限に抑えました。外観検査はピンホール・タレ・ゆず肌等の表面目視・膜厚検査・スパッタ除去を徹底し、顧客規格に準拠した品質管理を行っています。
【補修レクチャー】
さらに、組立工程で生じる小傷などに備え、適切な補修塗料を選定・提案するとともに、補修方法についての現場レクチャーも実施。お客様のスタッフが自社で軽微な補修対応できる体制を整え、製品完成後の品質維持も継続的にサポートしています。
施工結果と得られた効果
試作段階でコストダウンと納期短縮を同時に達成
富士商事の提案した仕様変更(2C2B → 2C1B・下塗り塗料変更)と前処理の一括対応により、試作段階から以下の改善効果が得られました。
【コスト改善】
試作単価:@90,000円 → 量産単価:@75,000円(▲約17%)
年間削減効果:約135万円/年
【納期改善】
リードタイム:4営業日 → 3営業日(▲1営業日)
乾燥炉の占有率削減・光熱費・工数削減にも寄与
【品質対応】
縦吊り施工とシリコーン製テープの活用により、DSホワイトのコンタミ付着を最小限に抑えた均一な仕上がりを実現。外観検査(膜厚・ピンホール・タレ・ゆず肌等)のすべてで顧客規格をクリアしています。
現在は試作から量産移行に向けた体制を構築中であり、週2台・月10台のペースで安定供給できるよう継続的に取り組んでいます。
富士商事では、試作段階から量産を見据えたコスト・品質・納期の最適化を一貫してご提案します。大型製品や複合形状の粉体塗装、前処理を含めたワンストップ対応など、お気軽にご相談ください。
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