アルミの焼付塗装は剥がれやすい?手順や注意点、施工事例を紹介
アルミニウムの焼付塗装は、適切な処理を行わなければ塗膜が剥がれやすいため、適切な工程で行うことが重要です。正しい手順で実施すれば製品を長期間良い状態を維持できるものの、下地処理や塗料選定など、専門知識が求められるため難しく感じる方も少なくありません。
そこで本記事では、アルミニウムに焼付塗装を施す理由や手順、注意点について解説します。また、弊社が施工した塗装事例も紹介しています。
アルミニウム製品への塗装を外注している製造担当者様や、焼付塗装の実績がある業者を探している方は、ぜひ参考にしてください。
アルミニウムへの焼付塗装とは
アルミニウムへの焼付塗装は、塗料を塗布後に加熱して硬化させることで、耐久性や耐候性に優れた塗膜を形成する工法です。通常の塗装よりも強靭な塗膜を形成しやすい特徴があり、キズや腐食への強さが求められる工業用途に適しています。
ここでは、アルミニウムに焼付塗装を行うことによるメリットや具体的な手順を解説します。塗装を専門業者に依頼する場合でも、塗装工程を理解しておくことは重要です。
アルミニウムに焼付塗装を行うメリット
アルミニウム製品に焼付塗装を施すことで、以下のようなメリットが得られます。
- 耐食性・耐候性が向上する
- 美観が向上する
- アルミ機材への傷を防止できる
- 通常の塗装より短納期で施工できる
アルミニウムは塗料が密着しにくい性質を持つため、適切な下地処理を実施したうえで焼付塗装をすることで密着性が増し、塗装不良の防止にもつながります。
アルミニウムに焼付塗装を行う際の手順
アルミニウムに焼付塗装を行う際の一般的な手順は、以下の通りです。
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工程 |
内容 |
ポイント・目的 |
一般的な所要時間 |
| ① 脱脂 | アルカリ洗浄液や溶剤で油分・汚れを除去 | アルミニウムは加工時の油や指紋でも密着不良の原因になるため、徹底的に洗浄する |
数十分〜半日 |
| ② 表面調整
(粗面化) |
サンドブラストやショットブラストで表面を削る | 表面に微細な凹凸を作り、塗料が「引っかかる」状態にする |
数十分〜半日 |
| ③ 化成処理 | ノンクロム、クロメート(※近年は環境規制で減少)、アルマイトなど | アルミニウム表面に「化学皮膜」を形成し、耐食性・密着性を向上 |
半日程度 |
| ④ プライマー塗布 | エポキシ系や特殊アルミ用プライマーを塗布 | 下塗りとして密着と防錆を強化。均一な膜厚が重要 |
数十分〜半日 |
| ⑤ 上塗り塗布 | ポリエステル樹脂やメラミン、ウレタン、フッ素などの塗料を、環境によって選定しスプレーで均一に塗る | 色や艶を決定する仕上げ工程 |
数十分〜半日 |
| ⑥ 焼付
(本焼付) |
120〜200℃で20〜40分加熱、その後冷却 | 塗料を完全硬化させる。硬度・耐久性・光沢が決まる |
約1〜2時間 |
| ⑦ 検査・仕上げ | 外観・膜厚・密着テストなどを実施 | 膜厚・剥離・色むらをチェックして完成品とする |
半日程度 |
アルミニウムに焼付塗装を行う際は、下地処理から焼付・検査まで、複数の工程を慎重に進める必要があります。とくに密着性や耐食性を高めるには、表面の洗浄や化成処理といった前処理の精度が重要です。
また、製品の材質・形状・ロット数により実際の工程や納期は大きく変わります。たとえば、サイズの小さい部品で小ロットの焼付塗装であれば、数日足らずで完了する可能性もあります。
ただし、焼付塗装に使用する機材や設備は塗装会社によって異なるため、塗装する対象や塗装環境に合わせて最適な工程を提案してくれる業者への依頼が重要です。
アルミニウムへ焼付塗装を行う際の注意点
アルミニウムへの焼付塗装において、塗膜の剥離や仕上がり不良を防ぐために、以下の点に注意する必要があります。
- 下地処理を徹底する
- 塗料がアルミに密着しているか確認する
- アルミの種類や環境に応じて適切な塗料を使用する
正しく理解して実施することで、耐久性と外観品質を両立できます。次章ではそれぞれの注意点について詳しく解説します。
注意点①下地処理を徹底する
アルミニウムへの焼付塗装において、下地処理は仕上がり品質を左右するため非常に重要です。下地処理が不十分な場合、以下の不具合が生じます。
- 塗膜が早期に剥離する
- ピンホールが発生する
- 残された錆により素地が腐食する
不具合を防ぐためには、「表面処理」と「化成処理」の2つの工程を徹底する必要があります。それぞれの工程の概要は以下の通りです。
【表面処理】
素地に錆や腐食がある場合は、状態に応じてケレンやブラストなどで除去します。錆や腐食、汚れがない場合は、サンドペーパーや布で軽く凹凸をつけます。
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【富士商事のワンポイント】 富士商事では、腐食や巣穴(鋳巣)の有無、錆などに応じて施工方法を工夫していますが、多くの場合は手作業での除去となります。例えば腐食や錆が発生している部分をブラスト処理で研磨剤を当てながら除去しようとすると、ひずみが発生する可能性が高くなるためです。 そのため、サンドペーパー・手ケレン・ワイヤーブラシ・エアーサンダーといった道具を状況に応じて使い分けて表面処理を行います。下地処理を丁寧に実施することで、質の高い塗装を実現しています。 |
【化成処理】
焼付塗装の下地処理として、アルマイト(陽極酸化皮膜処理)を行うことがあります。アルマイトは、アルミ表面に電気化学的に厚い酸化皮膜を生成する化成処理の一種です。
この皮膜は焼付塗装の下地として優秀であり、高い密着性と耐食性を得られる点がメリットです。ただし、アルマイト処理の実施により、コスト・所要時間の増加や被膜の機能性が過剰になりすぎることにつながります。また、電気部品などに使用すると不良の原因にもなる場合があるため、製品や使用される環境に応じた工程設計が重要です。
焼付塗装を行う場合は、アルマイトよりも安価に施工可能なノンクロム処理でも、十分に対応できる製品・環境も多くあります。
このように、下地処理は仕上がりを左右するだけでなく、コストにも大きな影響を与えます。弊社でもアルミニウムの焼付塗装は対応しているため、「既存の業者では塗装不良が多い」「コストを見直したい」といったお悩みがある方は、お気軽にご相談ください。
注意点②塗料がアルミニウムに密着しているか確認する
塗料がアルミニウムにしっかり密着していなければ、早期剥離や膨れ、塗膜の縮みといった不具合が発生するリスクがあります。アルミニウムはもともと塗料が密着しにくい素材であり、隙間に残った水分や空気の影響で、密着不良を引き起こすためです。そのため、塗料がアルミニウムにしっかりと密着しているかを確認することが重要です。
こうした問題を防ぐには、下地処理や適切な塗料の選定にくわえ、工程ごとの工期を遵守することが求められます。塗料の密着や付着試験は「クロスカット試験」と呼ばれるJIS規格で定められている方法での確認がおすすめです。クロスカット試験は塗膜に規定のサイズの切り傷を入れ、テープで引き剥がすことで密着度を確認します。
このように、密着度試験を実施し、塗装不良や早期剥離の防止といった品質問題を防ぐことが重要です。
注意点③アルミニウムの種類や環境に応じて適切な塗料を使用する
アルミニウムは種類や環境によって塗料との相性が異なるため、相性の合わない塗料を使用すると塗膜の早期劣化や密着不良の原因になります。そのため、適切な塗料を選択したうえで、使用量や用途を守って焼付塗装を行うことが、品質向上には欠かせません。
また、焼付塗装を行うアルミ製品が紫外線を浴びやすい場所で使用される場合は、耐候性・遮熱性の高い塗料を使用するなど、環境に合わせて選定することも重要です。
アルミニウムへの焼付塗装を行う際は、塗装のプロに相談をし、塗料の選定や施工を依頼することで、仕上がり品質の向上や長期的な保護にもつながります。
アルミニウムの焼付塗装に関する事例
弊社では、さまざまな経験によって培われた知見をもとに、アルミニウムへの焼付塗装を行っています。施工はW3,600×H2,800×L8,000まで対応しており、サンプル塗装も可能です。
弊社では下地処理から一貫して行っているため、ヒアリングをもとに素地に合わせて適切な塗装を実施します。
事例1.アルミニウム製カバーへの焼付塗装
事例2.ヒートシンクへの焼付塗装
アルミニウムへの焼付塗装が失敗した場合
万が一アルミへの焼付塗装が失敗した場合、以下の不具合が生じるリスクがあります。
- 塗膜の剥がれ・膨れ
- 塗膜のひび割れ
- 塗膜の色ムラ
- 早期劣化
小さな傷や色ムラであれば部分的な補修で対応できる可能性もありますが、剥離や大部分の膨れは再塗装が必要となるため、下地処理からのやり直しが求められます。工数やコストの大幅な増加につながるだけでなく、品質問題にも発展するリスクがあるため、信頼できる業者への依頼が必須です。
アルミニウムの焼付塗装は下地処理が非常に重要!
アルミニウムは塗料が密着しにくい素材のため、焼付塗装では下地処理が非常に重要です。塗装後の品質の維持・向上を達成するには、素材に応じた適切な下地処理や塗料選定が求められます。
アルミニウムの焼付塗装を検討している方は、豊富な実績を持つ弊社にぜひご相談ください。丁寧なヒアリングをもとに、最適な塗料選定や下地処理を行い、高品質・高精度の焼付塗装を実現します。
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